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鉄道電気マンが簿記2級を取った話

2017年に簿記2級の資格を取った。鉄道の電気部門の職員としての日々の仕事が、財務諸表のどの数字と関係があるのか知りたかったからだ。実際簿記2級まで取ってみると、業務のあらゆるところで勘定科目や仕訳が思い浮かぶようになり、当然だが自分が仕事を通じて経済活動をしている実感を得られるようになった。また、常に財務諸表が意識できるようになることで、技術屋として何をすることで利益貢献につながるか考えるようになり、経営的視点で仕事を見つめられるようになったことも、思いがけない収穫だ。簿記2級の資格取得によって、自分たちの商売がなんたるかを具体的に捉えるきっかけとなり、会社の中での自分の立ち位置を把握することができることから、簿記は一般教養として大事な知識であると確信している。

 

 

 

財務諸表が読めない!!

簿記を取ろうと思った最初のきっかけは、決算で公表される財務諸表を読めないのが悔しかったからだ。恥ずかしながら、学生の頃は簿記だの決算だのというのは、経営学を専攻している人だけがやるものだと思っていたし、会社では経理部と経営者だけがやるべきものだと思っていた。学生の方は覚悟してほしいのだが、社会人になり仕事をし始めると、必ず年に一度、決算という言葉を耳にすることになる(四半期決算等もあるので本当はもっと多く耳にする)。そして決算の内容は、会社に勤める人全員が理解すべきものであることに気がつくと思う。僕はその事実を会社に入ってから気づいた側の人で、最初は戸惑ったし、財務諸表が全く読めないことは、とても悔しかった。学生のころに、もっと興味を持って経営学の友人にその内容を聞いておけばよかったと何度も思った。

財務諸表は簿記によって作られていく

財務諸表とは、簿記の一連の作業を全部終えると完成する企業の成績表であり、財務諸表を作成する上での基礎的な作業が簿記であるということを、僕は理解し始めた。財務諸表とは、会社と関係のある人々(ステークホルダ)が会社の状態を知るために参考とする重要な資料である。この財務諸表は、いくつかの報告書をまとめたものをいっているが、そのすべての計算の基礎となるのが仕訳と呼ばれる作業であり、簿記で学習する範囲だ。

電気屋としての仕事と財務諸表の関係

だが、簿記について調べていくうちに、鉄道の電気屋としての自分は、会社の財務諸表のどの数字と深い関わりがあるのか気になってきた。財務諸表とすべての業務の間には、必ず関わりがある。商品を仕入れれば、仕入という費用が増えて現金が減ることは分かった。商品を売れば、現金が増えて売上という収益が増えることも分かった。勤務時間中は息をするだけで人件費が発生している。では、電車線を保守するために必要な、電車線路用懸垂碍子を購入した時はどういう勘定科目なのか。電車を動かすために電力会社から購入した電力量はどういう勘定科目なのか。

簿記を取って変わった仕事観

簿記2級を取った前と後で違うのは、どの業務をしていても、勘定科目と仕訳が思い浮かぶようになったことだ。電車線を保守するために必要な材料を仕入れたあとすぐ使った場合は修繕費として営業費に入るということが頭に思い浮かぶし、受電した電気料金は電気動力費としてやはり営業費に入ることが分かってくる。トイレットペーパーは一般管理費かな?などと考えたりできるようになる。

簿記学習を通して経営的視点も身についた

また、財務諸表を常に意識しながら仕事ができるようになると、どうすれば利益貢献につながるのかを考えるようになり、経営的視点から仕事ができるようになる。財務諸表のうち損益計算書を眺めるとわかるが、営業利益を増やすためには、収益を増やすか営業費を削るかしかない。つまり、鉄道電気屋として営業利益に貢献するためには、日々の保守を誠実に実施して、安定輸送という質の高いサービスを提供し続けることでお客さまを獲得することと、保守や修繕にかかる費用をどうやって減らしていくかを考えることしかないのだ。以前の記事で、保守費用削減のための保全手法であるCBMを導入すべきと書いたが、このような考え方は、簿記の勉強を通じて獲得した視点から業務を見つめることでできた考え方である。

技術職も簿記は取得必須だと思います

簿記2級を取ると、己の商売がどういうもので、お客さまに提供しているサービスのどの部分を自分が担当しているのかわかるようになる。つまり、会社の中の立ち位置と明確な自分の居場所が、分かるようになる。財務諸表には、その会社がどういう商売をしてお金を稼いでいるのかが事細かに書いてあるものであった。財務諸表が読めるようになると、その商売をするためにどういう仕事があって、そのうち自分はどこを担当しているのかがわかるようになる。財務諸表が読めず悔しい思いをしたことからスタートした簿記学習であったが、財務諸表が読めるようになることで、会社に関する理解が深まり、自分の業務に関する理解も深まったと思う。技術屋も、教養として簿記を学習することを心からお勧めします。

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