DENKIMAN

エネルギー業界の気になるニュースをPICK UP

大学では電気電子工学を学び、卒業後は鉄道会社に電気専門職として6年勤め、その後太陽光発電事業者に転職しましたが、今までに得た知見をまとめる為に本サイトを立ち上げました。しがない知見ではありますが、微小でも本サイトが業界の共有財産となればと思っています。

太陽光マネジメント
・予備品、備品管理
・必要十分なO&M業務の内容について考える
・リパワリング、リバンピング
・予備品の保管について
サイト・セキュリティ
・かけるべき保険
・インバータの保証について
・発電所監視カメラ
・セキュリティシステム
関係法令
・モジュールの接地について
・太陽光発電の絶縁について
・サイバーセイキュリティ対策
・主任技術者の専任について
テクニカル
・PRの計算方法おさらい
・モジュールの技術的な話
・インバータの技術的な話
・架台について
・モニタリングシステムについて
・ストリング監視は必要か
・通信異常発生時のトラブルシュート
電験二種取得計画
※非リンクは今後更新予定です。

読書感想文:激動日本左翼史-学生運動と過激派1960-1972 池上彰・佐藤優著

なぜ読もうと思ったか

本書は前巻「真説日本左翼史−戦後左翼の源流1945-1960(講談社現代新書)」に続き、戦後日本の革新派勢力の歴史を体系的に捉えることで、戦後左翼史、とりわけ日本の学生運動が最も盛り上がった時代の左翼史のついて解説した本です。読んでみようと思ったきっかけは、池上彰先生・佐藤優先生が執筆された「無敵の読解力(文春新書)」の中で、行き過ぎた資本主義がもたらす貧富の差や環境破壊の問題から、マルクスの資本論や、ひいては革新的な考え方が再び脚光を浴びていると指摘されておられましたが、そもそも革新的、すなわち左翼的な思考とはどのようなものなのか、全く説明できないことに気づいたことが、本書のシリーズを読もうと思った動機です。全巻と本巻を読了して、下記の点について特に理解を深めることができました。

  1. 社会主義と共産主義の違い
  2. 新左翼と左翼の違い
  3. 学生運動はなぜ隆起したか

本書が言わんとしていること

①新左翼が失敗した理由は、ダイバーシティの欠如

新左翼は学生運動が最も隆起した時代に最盛期を迎え、そして一気に衰退していきましたが、その理由は新左翼勢力が多様性を受け入れられなかった、すなわちダイバーシティを認められなかったところにあると言います。

なぜか。左翼的思考は権力主義(官僚主義)的思想に疑問を投げかけるところが出発点であるので、本質的に官僚主義を否定する立場です。一方で、現代政治は官僚化しないとできないもの、すなわち国家権力の実質的担当者である官僚がその力を行使することで初めて国を統治できる政治形態をとっている以上、国の統治にはこの考え方も当然必要になってくるものであり、考え方の多様性を認められないと現実的に物事を考えることができなくなります。これをできなかったことが新左翼の失敗の本本原因と結論しています。

多様性がいかに重要かということは語らずとも明らかで、ダイバーシティは組織運営と継続の観点からもやはり大事であると、新左翼の歴史を振り返ることでも学ぶことができます。

②新左翼が過激化した理由も、ダイバーシティの欠如

新左翼が過激化してしまったのは、新左翼各派のなかで考えが異なる者をことごとく排除し、組織内に同じ考え方を持つ者しかいなくなってしまったが為に、過激な意見ばかりがまさってしまったことによります。これは左翼だからというわけではなく、閉ざされた雰囲気の中ではどのような議論でもこのような現象が起こりうると思います。考えればWW2に突入した日本も同じような環境でしたし、今現在ロシアの内部で起こっていることも同様であることは想像に難くありません。

やはり大事なのは考え方の多様性をどこまで認められるか、その器量がリーダーにあるかどうかだと思います。その観点で言えば、様々な立場の左寄りの人たちが集まって結成された、当初の民社党なんかは、ある意味で一番組織としては強く健全だったのかもしれません。

③新左翼の失敗と、各派指導者の理論的思考は切り離して考えるべき

新左翼運動は結果的に暴力的となり自滅の道を歩むこととなり、その事実に関しては当然反省すべき点がある一方、各派指導者の理論は非常に優れたものであり、新左翼と一括りにこれを否定することはナンセンスであることも、また学ぶべき点だと思います。新左翼の失敗は組織運営の失敗であり、指導者の思想はより良い社会を作る為に議論をしていく上で、強力なヒントとなることは間違いありません。彼らの思想について、俄然学びたいと思うようになりました。

結論:大事なのはバランス

読書を通して、戦後左翼運動はなぜ盛り上がったのか、当時の若者はなぜ本気でこれに取り組んだのか理解できました。近年の選挙投票率を見ても分かる通り、若者は政治にまるで興味がありません。まるで「事なかれ主義」が主流となってしまって、全体が官僚主義化していると思います。これはこれで、全体が右傾化しすぎていてよくないと思うのです。

民主主義の最も健全な状態というのは、様々な意見が常に存在し、議論が活性化している状態であり、その中で右にも左にも偏りすぎない為に、様々な意見を尊重し耳を傾けることだと思います。

おりしも環境問題や貧富の差の問題により、資本主義の限界が見えてきたように思います。これに端を発し、再び私たちの社会がどうなれば皆がハッピーになれるのかを真剣に考える土壌が醸成され、活発な議論が巻き起こることを期待します。そしてそうなった際に、過去の新左翼のような凄惨な内ゲバが繰り返されることのないよう、反面教師としてこれらの歴史を真摯に学ぶ必要があるのだと思いました。

次に読もうと思った本

①「資本論」、カール・マルクス著、岩波文庫

左翼的思考の根本であるマルクス主義を理解する為にも、本書に目を通すのは必要不可欠と思ったからです。

②「社会間の探究」、黒田寛一著、現代思想社

本書の中で、黒田氏の疎外論・労働観に関する言及があり、興味を持ちました。革マルの過激な思想には共感できませんが、それと黒田氏の理論的に優れた思想は別問題であり、学べるところからは素直に学ぶべきと思いました。

 

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