就職を控えている君へ。
業界分析やリクルート活動の中で、「総合職」と「専門職」の言葉を見かけることが多いと思いますが、違い、分かりにくいよね。
もう気づいてるかもしれないけど、どの会社も給料は総合職の方がいい設定になっているはずです。でも、それだけで就職先を選んでしまうと、後々、仕事の内容と自分がしたかったことに差異が出てくる、いわゆるミスマッチが生じるかもしれない。
僕は、関東の私鉄会社に電気系の専門職として勤めています。どうして今の仕事を選んだのか、今の仕事に関する正直な感想を伝えます。就活の参考になれば嬉しいです。
総合職と専門職
1.業務内容
総合職は会社のいいなり
誤解を恐れずに言えば、総合職という職種に就いた人は、会社が望むポストに就く必要があります。君が何をしたいかは、会社にとってあまり重要ではないからです。
会社という組織は、会社の方針となる経営方針(ミッションステートメント)があり、経営者のリーダーシップのもと、目標を達成するために組織された集団です。目標達成のために必要な人材は状況によって変わりますが、変幻自在にそのような人材になること、これが総合職には求められます。例えば君が工学部出身で、技術者としての専門性の高い経験を積んでいくキャリアステップを望んでいる場合、総合職を選ぶとその希望が叶わない場合があります。
少々ネガティブに言ったけど、裏を返せば様々な業務を経験することができると言えます。専門性にとらわれず様々な経験を積むことで、会社事業を多角的に捉えることができるようになります。そうして会社の動かし方を学び、将来的には会社を引っ張っていきます。
専門職はプロフェッショナルを目指す
対して専門職は、ある分野に特化した部署に長く身を置くことで、専門性の高い知識や技能を身につけることを求められます。特に専門性の高い分野の勉強をしてきて、その知識を活かして仕事をしたいと考えている人にとっては、専門職は魅力的な職種と言えます。
話は少しそれるけど、アメリカでは総合職や専門職といった区別がそもそもありません。企業が採用を実施するときは、どの部署でどのような仕事をする人を求めているか(ポジションという)を示し、それに合致する人が応募するといった流れです。(参考:今や3人に1人はフリーランス。アメリカでフリーランスが多いワケ | AdverTimes(アドタイ) by 宣伝会議 - Part 2)
アメリカ式がすべて正しいとは言わないけど、このやり方はすごくいいと思う。すべての従業員が、専門的に自分の業務をやるってことは、それぞれの道のプロが集まった組織になるわけで、会社としてのレベルが高くなるから。従業員は従業員で、リクルーティングの段階で業務内容がはっきりしているから、業務内容のミスマッチが起こることも無い。結果的に、社員満足度(ES)も向上するし。何より、みんな主体的に仕事をするようになるし。
2.お給料
特に鉄道技術系で見た場合、お給料は総合職の方がいいです。各社採用のページを見れば初任給がすぐにわかると思いますが、数万の違いです。でも、基本給の違いはダイレクトに時間外手当とかに反映されるので、差は大きくなりがち。
専門職を選んだ理由
給料だけで選ぶのなら、総合職一択でしょう。でも、技術系のプロとして常に自分の専門分野で勝負したいという気持ちがあります。
先日もJR東日本で超電導を活用したき電線の実験をしていましたが、こういう自分の専門分野と関係のある新設備の導入とか、常に関わっていたいと思います。
それまで勉強してきた専門知識を活かして、鉄道の運行を支えたり、新設備を導入したりすることでお客さまの役にたてるというのは、とても嬉しいものです。
どの職種にせよ、すべての業務は最終的にお客さまにつながるのだけれど、どうせ勝負するなら自分の専門分野で勝負してみたい。そういう気持ちが大きかったから、僕は鉄道の技術職に専門職として就職しました。
仕事の内容について思うこと
専門職として就職したことに後悔はありません。でも、鉄道というフィールドで仕事をしていて思うのは、ルールに縛られがちになるということ。安全がすべての基本なので、様々なルールがあるのは当然なんですけど、ルールに囚われてるとね、新しいことやりたくなくなるんですよ。
鉄道というのはある意味完成しているシステムなので、昨日と同じことやっていれば電車は動きます。でも、昨日より今日の方が日本人の人口は少ないので、今までどおりのやり方をこれからも変わらず続けるなら、やがて手が回らなくなって破綻します。
だから、鉄道業界も例外なく、業務内容を変えて行かなければいけないのだけれど、スピードが遅いと感じてしまうんだよね。まだまだ、ぬるま湯に浸かっている感が大いにあります。実感として。
こういう状況を打破していく人が、これからは求められると思います。CBMやAI、IoTを活用した業務内容の軽減、自動化を推し進めて行かなければいけません。