ショッピングのためターミナル駅に出てくるとワクワクする。百貨店にはほしいものがすべて揃ってしまうのではないかという気持ちになる。すべて揃えるほどの財力はないのだが。
ついつい買い物をしすぎてしまうと、帰りの改札で苦労することが往々にしてある。ポケットからICカードを出せないのだ。夕方の混雑した駅では、ちょっと改札でもたもたするだけで後ろからの冷たい視線を背中いっぱいに浴びる気がする。
こんなとき、米シアトル州のアマゾン本社ビルにあるレジなしコンビニ「アマゾン・ゴー」に関する記事を思い出す(1)。正確に言えば「アマゾン・ゴー」には改札があるのだが、本来コンビニにあるべきレジがない店舗というのは衝撃だった。
このイノベーションのように、駅にあるべき改札を取っ払ってみてはどうだろうか。
そう考えていたら、すでに顔認証で地下鉄を利用できるようにする実験が中国で行われているらしい(2)。改札口で機械が乗客の顔を読み取り、乗車区間を検知し、運賃は乗客の電子マネーから清算される仕組みだという。
「アマゾン・ゴー」では店舗の天井にカメラやセンサーが設置され、店内にいる利用者の顔を認識しているという。顔認証技術が進化すれば、改札に機械を設置せずとも顔認証が可能になるのではないか。
また、「アマゾン・ゴー」では、従来の店舗のように利用者が店舗の奥へ向かうような商品陳列をせず、需要の高い商品ほど出入り口の近くに商品を配列するらしい。そうすることで、店内に利用者が密集しなくなるので、カメラが人の顔を認識しやすくなるのだそうだ。
これは、駅の混雑を緩和させるヒントだと思う。顔認証技術を積極的に採用することで、今度はいかに駅の混雑を緩和させるか?に焦点が移るようになる。この問題が解決されれば、顔認証技術の恩恵をより受けられるようになるし、お客さまも混雑が緩和され駅をより利用しやすくなるのだ。
セキュリティやプライバシーの問題などいろいろ乗り越えなければならない壁はあるが、顔認証技術、人工知能が切り札であるのは間違いない。改札口すらなくなり、両手に荷物を持ったままでも全く問題なく電車に乗車できる、鉄道をとことん使いやすい未来を創ってみたい。
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(1) 日本経済新聞電子版「「アマゾン・ゴー」の秘密 棚の配置に良い接客」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29783370U8A420C1000000/
(2) 日本経済新聞電子版「どこまで続く中国経済の「カエル跳び」」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24962880S7A221C1000000/