音声認識と人工知能の技術を用いて、声で弁当などを注文するサービスを開始するとのニュースがあった。(日経新聞2018.6.17朝刊)
注文したい旨を話せば、どんな商品をどこで受け取りたいのかを人工知能から尋ねられ、それに答えていくと注文が完了する仕組みだそうである。
この取り組みは、デジタル機器を活用することで、減少傾向にある若者を取り込むことが目的であるが、音声認識と人工知能の技術を券売機に導入すれば、目の不自由なお客さまや、券売機を操作することが難しいお客さま、機械の操作に不慣れなお客さまにとっても使いやすい機能を追加できるかもしれない。
(人工知能+音声認識)×自動券売機=?
音声認識と人工知能を券売機に組み込むことで、声による切符の購入や電子マネーへのチャージの他に、どんなことができれば面白いか考えてみた。
- 目的地を喋るだけで最適な切符と交通経路を示してくれる
- 旅行目的や日程を喋れば、最適なお得な切符を示してくれる
- 降車駅付近の観光情報やグルメ、天気予報等を教えてくれる
こういうサービスを提供してくれれば、使いやすく親しみやすいものになるのではないか。土地勘のない場所に観光に行ったりすると、運賃がいくらなのか、券売機上の地図でなかなか探し出せなかったりする経験はないだろうか。どこに行きたいか喋るだけで切符の値段を示してくれるのは、小さいかもしれないが使いやすいと思うのだ。
また、鉄道事業者によっては一日乗車券や同エリアの他社線も使えるフリー切符が販売されていることもあるが、一体どういう使い方をする場合はそちらの方が得なのか、わからなかったりすることもある。こうした際に、券売機にどういう日程でどこを回る予定なのか喋ることで、どの切符が一番最適か教えてくれたら、使いやすいとも思う。その際に、オススメのグルメや観光スポットなどの「余計なお世話」があれば機械っぽくなくて素敵だし、旅行者にとって思わぬ発見もあるかもしれない。
お客さまの感情を理解することで、快適なサービスを提供できるかもしれない
お客さまの感情を顔色や声色から判断し、適切なアドバイスや一言を添えるように工夫するのも面白い。
国土交通省が2017年12月に公表した「遅延の『見える化』を開始!」によると、10分未満の小規模な遅延の47%は乗降時間の超過、16%はドアの再開閉、12%は車内で具合を悪くされたお客さまの対応が原因だという。
券売機を利用されるお客さまが急いでいそうなそぶりを見せれば、電子マネーのチャージや切符発行の少しの時間に「電車はあとからも来ますので、無理して乗車しないでください」と声をかけることで、乗降時間の短縮や事故防止が図れるかもしれない。
また、車内で体調を崩すことは誰にでも起こり得るが、体調が悪そうなお客さまだと人工知能が判断した時に、「少しでも気分が悪くなったら遠慮せず駅係員にお申し付け下さい」というように声をかければ、いざ車内で気分が悪くなりかけた時に、こうした言葉を思い出していただけるかもしれない。そうすれば、駅係員を頼ることができ、小規模な遅延の低減に少しでもつながるのではないかと考える。
自動券売機とのコミュニケーションを楽しむ
音声認識技術と人工知能の発展によって、人間は機械とより自然な形でコミュニケーションが取れるようになってきた。券売機も、それまで切符を売ったり電子マネーにチャージする機械であったのが、コミュニケーションの相手としての可能性を秘めてきたのではないかと感じる。利用されるお客さまが、新しい話し相手とのコミュニケーションを楽しみ、沿線の魅力に触れられ、より快適なサービスを受けられる可能性が、自動券売機にも秘めていると思った。