2018年11月28日付の日経電子版で、西武新宿駅で実証実験中のAI警備ロボに関する記事があったのでスクラップ。少子高齢化が進み人手不足が懸念される中、公共交通機関としての鉄道はセキュリティをいかに確保していくかという問題があるが、AIを活用した警備ロボがこの問題の切り札になる可能性がある。AI警備ロボを駅で活用することの是非について考えたい。
日本経済新聞電子版 2018年11月27日付
西武鉄道など、AI警備ロボ実証実験 職員の負担軽減 :日本経済新聞
この内容は本日の日経新聞朝刊でも紹介された。
記事の概要
記事によると、西武鉄道は駅係員の負担軽減や駅利用者の安全確保を目的として、人工知能(AI)を搭載した自立移動型警備ロボットの実証実験を、2018年11月30日まで西武新宿駅で実施する。AI警備ロボットは、不審者や不審物、体調の悪そうな利用者を自動で検知して駅係員に伝えることができるが、誤って普通の駅利用者を体調の悪い利用者と認識する場面もあったという。
AI警備ロボの活用で、人手不足の解消とセキュリティ向上に貢献する可能性
少子高齢化が進み、人手不足が深刻になるなか、ロボットを活用することは人手不足の問題を解決する切り札となるかもしれない。健康な利用客を誤って体調の悪い利用客と判定する場面はあったかもしれないが、これはAIによる機械学習で、使えば使うほどその精度は向上すると考えられる。
また、セキュリティの確保も鉄道事業者がよく考えなければならない問題だ。安全で安心なサービスを提供するためには、不審者や不審物を出来るだけ早く発見する必要があるが、人手不足が問題になっている今日、その警備要員を確保するのは簡単ではない。ロボットを導入することで、常に不審者、不審物の警備にあたらせることができ、セキュリティ確保に大いに貢献できる可能性が高い。
個人情報の保護、不審者の確保、ある程度の大きさがあることが欠点か
1ためのリスクは、駅利用者を監視するために警備ロボが取得した、利用者の顔や音声等の情報が存在するということである。ロボットが取得した利用者の個人情報は、保安やマーケティング上の大事な情報になりうるので、そうした目的には使わないか、使うなら両者の承諾を得るなどの対策を講じないと、トラブルの原因になる可能性が高い。
2つ目に、不審者を警備ロボが発見できたとしても、ロボットはその不審者の確保や行動の制止まではできないという点である。実証実験中の警備ロボは不審者や不審物を駅係員に伝えるまでが仕事なので、不審者が行動を起こそうとしている場面や、不審物が爆発する直前ではこれらを止めることができず、結果的に利用客に損害を与えてしまう可能性がある。
3つ目に、その大きさが大きいゆえに、通勤や帰宅ラッシュ時間帯では邪魔になりうるという点だ。警備によりセキュリティを確保したり、体調の悪い利用客に適切なサービスを提供することができるようになることはとても良いことだが、警備ロボが大きいために利用者が通行する通路が狭くなったりしては、利用者が接触、転倒する可能性が高くなり、安心なサービスを提供しているとは言えなくなってしまう。
ルールをしっかり定めた上で、警備ロボを適切に使うことが大事
個人情報をどう取り扱うかが大きな問題となりそうだが、人手不足、セキュリティ確保も大切な問題である。個人情報保護方針(プライバシーポリシー)をお客さまにしっかりご説明し、ご理解をいただいた上で、AI警備ロボを適切に使用していくことが、これからの鉄道事業者には必要なのではないかと思う。