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【技術解説】「エネルギー消費原単位 kWh/car・km」(鉄道用語)の紹介

鉄道業に携わる人にとっては馴染みの深い「kWh/car・km」という単位について紹介します。エネルギー消費原単位と呼ばれる「kWh/car・km」という単位は、電車1車両を1km動かすのに必要な電力量を示す単位のことです。エネルギー消費原単位は車両がどれほどの省エネ特性を持つのか比較するときに用いられる単位で、この値が小さいほど省エネ特性がよく、エコな車両であるということができます。また、この値を用いることで、電車を動かすのに必要な電力量を予想することができ、予算計画など経営的視点からも活用することができます。

 

エネルギー消費原単位は車両の燃費を示す指標

エネルギー消費原単位「kWh/car・km」とは、電車を単位距離動かすのに必要な電力量を示す値です。例えば、(図1)のように、1両編成の電車を1km動かすために消費された電力量が1kWhなら、その車両のエネルギー消費原単位は1kWh/car・kmとなります。

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図1 エネルギー消費原単位の計算
上記の計算は最も単純な例での計算ですが、実際は複数編成の場合がほとんどです。例えば、10両編成の列車が西武池袋線の所沢駅から池袋駅まで移動し、その時に消費した電力量が496kWhであった場合を考えてみます。所沢駅から池袋駅までの距離(営業キロ)は24.8kmです。エネルギー消費原単位は次のように計算できます。

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式1 エネルギー消費原単位の計算方法

式1を用いてエネルギー原単位を計算すると、以下のようになります。

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式2 エネルギー消費原単位の計算(例)

エネルギー消費原単位が小さいほどエコな車両

エネルギー消費原単位が小さい車両ほど、省エネ特性がいい車両だということができます。式1より、エネルギー消費原単位は消費した電力量に比例するので、単位距離を動かすのに必要な電力量が少なければ少ないほど、エネルギー消費原単位は小さくなります。つまり、より少ない電気で車両を動かせるエコな車両ほど、エネルギー消費原単位は小さくなるということです。東武鉄道が2016年に発表した「社会環境報告書2016」では、使用している車両のエネルギー消費原単位の変化についてまとめており、省エネルギー車両の導入によりエネルギー消費原単位が年々減少傾向にあることが確認できます。(図2)

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図2 東武鉄道のエネルギー消費原単位の変遷

経営的視点から見たエネルギー消費原単位

エネルギー消費原単位は、鉄道会社の予算計画を立てる上でも重要な指標になります。現時点までの営業実績(営業ダイヤの実績)と消費電力量の実績から、エネルギー消費原単位が計算できることが分かりました。もし、ある鉄道会社がダイヤ改正を行おうとしている場合、実績に基づくエネルギー消費原単位を用いることで、ダイヤ改正によって消費される電力量を予想することができます。消費される電力量を予想できれば、電気料金、すなわち列車を動かすための原価を計算することができます。これが、この単位が「原単位」と呼ばれる所以だと電気マン山田は勝手に解釈しています。

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