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エネルギー業界の気になるニュースをPICK UP

大学では電気電子工学を学び、卒業後は鉄道会社に電気専門職として6年勤め、その後太陽光発電事業者に転職しましたが、今までに得た知見をまとめる為に本サイトを立ち上げました。しがない知見ではありますが、微小でも本サイトが業界の共有財産となればと思っています。

太陽光マネジメント
・予備品、備品管理
・必要十分なO&M業務の内容について考える
・リパワリング、リバンピング
・予備品の保管について
サイト・セキュリティ
・かけるべき保険
・インバータの保証について
・発電所監視カメラ
・セキュリティシステム
関係法令
・モジュールの接地について
・太陽光発電の絶縁について
・サイバーセイキュリティ対策
・主任技術者の専任について
テクニカル
・PRの計算方法おさらい
・モジュールの技術的な話
・インバータの技術的な話
・架台について
・モニタリングシステムについて
・ストリング監視は必要か
・通信異常発生時のトラブルシュート
電験二種取得計画
※非リンクは今後更新予定です。

関電問題の被害者は結局誰なのか

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アクセスありがとうございます。山田大地です。

今日は、関西電力の金品受領問題に関する日経の社説を取り上げたいと思います。僕自身、この問題についていまいち理解できていませんでした。

www.nikkei.com

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関電の金品受領問題とは

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簡単に図にすると、上のような構図です。

関電は、地元住民の理解が得にくい原発事業(当時アメリカで原発事故(ウッドリバー臨界事故と思われる)が起こっており、尚更原発に対する風当たりが強かった)を何としても推し進めたい。

関電が原発を建設(増設)しようとしている福井県高浜市で力を持つ森山元助役は、地元自治体のリーダーを説得する代わりに、森山氏が関係する会社に原発建設の工事を発注するよう関西電力に働きかけ、金品を提供しました。

森山氏が提供した金品の出所は、彼と関係のある企業に原発建設工事のあっせんをする代わりに、森山氏が企業から手数料として受け取った現金だと言われています。

これら関電、森山氏、地元企業の利害関係が一致していたので、金品受領問題が起こりました。この問題について、NHKのクローズアップ現代の記事が大変わかりやすいです。

www.nhk.or.jp

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結局誰が被害者なのか

関電は被害者ぶっていましたが、森山氏の力を使いたかったのは事実です。当時原子力発電への依存度が51%まで高まっていた関電にとって、原発はなくてはならない電源であり、高浜原発の建設は絶対的に必要だったからです。

では一体、誰が本質的な被害者なのでしょうか。

それは、関西電力から電気を購入している加入者全員だと思います。関西電力が発注する工事の費用は、当然ユーザーである加入者から徴収する使用料金によって賄われます。

この金品受領問題によって、発電コストは上がっているはずです。その発電コストを賄うのは加入者です。今回の問題の登場人物に加入者が出てこないので非常に見えにくいのが嫌らしいですが、関西電力のユーザーは知らないうちに原発建設のツケを払わされている可能性があります。

電力システムの弱点は①需給バランス調整の難化②セキュリティ対策③気象災害|今日の気になる記事

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アクセスありがとうこざいます。山田大地です。

日経電子版より。今日取り上げる記事は、電力供給システムの抱える問題点について言及した記事です。

記事は、環境問題への対策から、脱石油、電力エネルギーへとシフトしている中で、電力エネルギーを供給するシステムが抱える問題点を3点あげ、問題から目を逸らさず、あらゆる対策の手段を検討することこそ、電力を商品として商売するものの責任であると結んでいます。

www.nikkei.com

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電力供給システムの抱える問題点とは

①再エネの採用で需給バランスを取るのが難しく、停電のリスクが増している

太陽光発電や風力発電が今のように普及する前は、電力会社や発電事業者が保有する発電所から、工場や一般家庭へと電気を送っていました。

電気は作った電気と使う電気が常に等しくなるようにしないと、停電します。このため電力会社は、常に電気の使用状況を把握して、発電機の運転具合を調整しています。

最近急速に普及が進む太陽光発電や風力発電は、太陽の照り具合や風の吹き具合によって発電電力がころころ変わります。このため、今まで以上に電力会社は神経質に発電機の運転具合を調整しなくてはならなくなりました。つまり、停電するリスクが上がっているのです。

切り札はスマートグリッドVPPです。スマートグリッドとは、各家庭で使う電気の使用状況をリアルタイムに把握できるシステムのことで、VPPとは点在する太陽光、風力発電などの発電機、そして充電設備を一体的に連動させるように動作させ、一つの大きな発電所のように動作させる技術のことです。

この2つの技術が成熟し浸透すれば、各地域の中で電力エネルギーを融通し合えるようになるため、電力会社の発電所運転調整の負担が軽くなります。結果的に、停電するリスクが下がります。

ただ、これで安心というわけではありません。いづれの技術も、通信が正常に動作して初めて動作します。通信インフラが攻撃されたら、無効化されるのです

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②セキュリティ対策を怠れば、テロの標的となる

通信設備は電力の安定供給に欠かせません。

上で説明したように、スマートグリッドやVPPの実現に不可欠ですが、それだけではないです。

発電所や変電所の遠隔操作、中央の指令所(給電指令という)と各発電所を結ぶ連絡手段としても、通信設備が絶対必要です。そして、その通信設備がダウンすれば、電力供給ができなくなります。

電力の供給系は、電力保安通信線という独立した通信設備を設けなければならない(電技第50条)ので、外部からのサイバー攻撃対策は、この閉じた系とIPとのゲートウェイをしっかりファイヤウォールして、電力会社の社内PCにウイルスが感染することのないようUSBメモリとかのセキュリティ対策を講じればまずは大丈夫かと思います。

怖いのはスマートグリッドの方で、電力の使用状況を送信するスマートメーターはIPを使って通信する仕組みのようです。

ここに悪さをされて、例えば使っていないのに電気をめっちゃ使っているというデータを、全てのスマートメーターから一斉に送信されたら、需給バランスはあっという間に崩れ停電するかもしれません。こういう潜在的な問題を、実は抱えています。

対策はもちろん検討されていて、@ITに参考になる記事があります。詳しくはリンク先をご参照ください。

www.atmarkit.co.jp

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③気象災害による電力インフラへの影響の懸念が増している

千葉県の沿岸で猛威を振るった2019年の台風15号(令和元年房総半島台風)、中部〜東日本の広い範囲に大きな爪痕を残した台風19号(令和元年東日本台風)では、大規模な停電が発生しました。

先の台風では送電線や配電線など、電気を送る設備が強風で破壊されたのが停電の原因でしたが、太陽光発電は洪水による浸水で容易に壊れるでしょうし、パネルも吹き飛ばされるかもしれません。

現状の法律による基準だけで大丈夫なのか、送電の方法をそもそも変えるべきなのか(架空→地下)、議論すべきポイントはたくさんあります。

リスクから目を背けない

記事では、これらの問題から目を背けるのではなく、あらゆるリスクと真摯に向き合い対策を講じた上で、必要な投資を行うことが、電力を商品として商売するものの責任であると論じています。

このサイトでも、電力供給がより安定して、僕たちがより安全に安心して電気を使うことができるよう、電力業界の抱える問題点を丁寧に解説していきたいと思っています。ご質問等ございましたら、どうぞお気軽にコメントやメッセージをいただければと思います。

メガソーラー所沢が面白い

こんにちは。山田大地です。

僕のブログにアクセスしていただき、ありがとうございます。

昨日の天気から一転、今日の所沢は朝から気持ちよく晴れました。あまりに気持ちが良いので、近所のスタバまで散歩がてら来て、テラス席で記事を書くことにします。

今日は、先日訪れた「メガソーラー所沢 (とことこソーラー北野という愛称がついてるらしい)」について紹介しようと思います。

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メガソーラー所沢はこんな感じ
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メガソーラー所沢とは

概要

メガソーラー所沢は、所沢市のゴミ埋立地(北野一般廃棄物最終処分場)だった場所を利用して所沢市によって作られた、太陽光発電施設です。

太陽光パネルの容量は1.05MW、1年間にこのメガソーラーが発電する電気は106万kWhだそうです。1日平均290kWh、我が家が1ヶ月に使う電気を、1日で発電できるほどの大きさです。

所在地

徒歩で行くにはだいぶ辺鄙な場所にあります。最寄りは下山口になるのかな?

小手指駅からだと自転車で15分ほどかかりました。

スマホがなければたどり着けないと思います。高台にあるので、景色が良いです。

見どころ

ソーラーパネルを見学できるエリアが整備されていて、午前9時から午後4時まで入ることができます。子供たちへの環境教育が期待できる「啓発施設」と謳っているだけに、写真のような教育用のパネルが設置され、再生可能エネルギーについて勉強することができるようになっています。

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太陽光発電について勉強できる

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再生可能エネルギーについても勉強できる

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地球温暖化の勉強も

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エコな生活をするためのヒントが

見学していて思いましたが、これは小学生たちの自由研究にうってつけだと思います。パネルに書かれていることを要約すればそれで宿題完成しそうです。

せっかく良い教材があるのだから、もっと大々的にアピールしても良いのかなとも思います。性格的にこういうのが好きな僕でも、完成してから6年後に要約この施設の存在を知りました。あまり興味のない人は、ずっと知らないのでは?と思うような影の薄さです。(だから記事として取り上げました)

ソーラーパネルを間近で見学できる

広い土地にビシーっとソーラーパネルが敷き詰められているのは結構圧巻ですよ。子供と一緒に来れば、ソーラーパネルの容量やパネル枚数など、概要が書かれたパネルが設置されているので、科学の勉強にうってつけだと思います。

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科学(物理)の勉強にうってつけ

例えば、パネル容量が1,000kW=1,000,000Wとして、電子レンジが500Wなので、電子レンジ〇〇台を一気に動かせるんだね!といった思考って、将来的に良い「センス」になると思うんですよねー。

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発電電力、発電電力量がリアルタイムにわかるパネルがある

これが個人的には一番面白かったです。今どれくらい発電しているのか、今日どれくらい発電したのかがわかるパネルがついています。

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発電量がリアルタイムでわかる

数字が動くので面白いです。特に、一瞬雲が陰ってから再び日がさすと、発電電力が上下するのがよくわかり、面白いです。

あと、ちょっとマニアックな話すると、電力と電力量をよくわかっていない人って結構多いんですよ。その関係について、直感的に理解できる、なにげにすごいパネルだと思います。自分の子供が電気について興味を持ち出したら、ここに連れてきたいですね。

ベンチがあるので一休みできる(自販機はない)

長いベンチがあるので一休みできます。

マイナーな施設?なので、僕が行った時は誰もいませんでした。なので、休みの日で天気のいい日は、おにぎりでも持って家族で行きたいなと思っています。(飲食禁止かどうかはわからない)

ソーラーパネルをみながらランチ、乙ですねー!笑

「ところざわ未来電力」が熱い

日系クロステックで、メガソーラー所沢に関する記事を見つけました。

xtech.nikkei.com

この記事の5ページ目に、面白い内容が書いてあります。

地域新電力「ところざわ未来電力」が、しないで発電した電気を市内の需要家に販売し、ゆくゆくは低圧でも販売する計画らしいのです!

これが実現すればエネルギーの地産地消を実践できます。メガソーラーという、目に見える場所で発電された電気を使うことができるなんて、ロマンだと思いませんか。

tokorozawa-mirai.co.jp

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Japan will introduce a license system of VPP

I got an information about Japanese VPP system when I read today's newspaper.

www.nikkei.com

According to the article, Japan will introduce a license system of VPP for the purpose of diffusing renewable energy.

In Current system, renewable enegy operating company sell its electric power to electric power campany. Supply and demand of electric power must be equal at anytime, electric power campany must reduce electric power supply by stopping their thermal power plant or hydraulic power plant if supply is more than demand.

If the new VPP system is put into operation, renewable energy operating company is asked to charge their electric power into battery if electric power supply is more than demand. This means we can control the supply of electric power easier than current system and we can fit the supply into the demand quickly.

竹も燃料になり得る

11/24〜11/26の電力業界気になる記事UPDATEします。

竹を燃料に発電(11/25、日経朝刊)

どんなニュース?

www.nikkei.com

2019年11月24日、バンブーエナジー(企業名から安易に事業内容が想像できる!)が、熊本県内で竹を燃料にした焼却炉の稼働を始めました。

バンブーフロンティアエナジーの事業紹介のページによると、竹は成長が早く、かつては日用品や建材によく使用されたそうですが、安価な輸入品により国産竹の需要が減り、放置された竹林が増えてしまっているそうです。

なぜ取り上げたのか

勤めている鉄道会社の路線沿線に竹林が広がっている箇所があるため、竹の有効活用について興味を持っていました。竹が発電に使える可能性があるというのはとても面白い話です。

遊休地を活用して竹を生産して発電に活用すればCO2も減らせるのでは?と考えて調べてみましたが、竹のCO2吸収量はそんなに多くない可能性があるらしいです(

竹にCO2削減効果ないとの研究成果 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト

)。

竹を活用した発電方法は、CO2削減の観点というよりは、すでに広がってしまった荒れた竹林の竹を有効に活用するために利用した方が良さそうです。

オランダ電力買収へ(11/26、日経朝刊)

どんなニュース?

www.nikkei.com

2019年11月25日、三菱商事と中部電力がエネコ(オランダ)買収の優先交渉権を獲得しました。

日本で今後活発になると予想される電力卸売市場で先手を打ちたい三菱商事と、少子高齢化で電力需要の頭打ちが懸念される国内市場を念頭に、新しい分野で稼ぎたい中部電力の思惑が原動力とみられます。

なぜ取り上げたのか

11/19のエントリでも触れましたが、電力のダイレクトプライシングが始動し私たちの生活に定着すれば、単位電力量あたりのCO2排出量はより減少していくと思われます。

電力のダイレクトプライシングを実現するためには、VPP(仮想発電所)と呼ばれる仕組みづくりが必要不可欠です。電力系統に接続されている全ての設備がネットワークにつながり、お互いの需給状況の情報をやり取りしながら電力需給を調整する仕組みで、これによりリアルタイムな電気のやりとりができるようになります。

VPPや電力卸売で先をゆく欧州の、それらのノウハウを吸収できれば、日本においてこれから取り組むべきVPP、電力卸売の構築に資すると考えられます。

余剰電力の活用は鉄道会社の責務だと思います

 

最近秋晴れが続いていたので、昨日からの冷たい雨は沁みますね。

 

小春びよりの気持ちの良い天気が続くと、ある問題が起こります。太陽光発電の出力制御です。

出力制御とは、電気が余っている状態のときに、太陽光発電を電力系統から切り離す操作のことです。

火力発電や水力発電などは、出力を自由に制御できますが、太陽光発電は日が照れば無条件に発電してしまうので、電力余剰の際は系統から切り離すという、少々乱暴なことをします。

 

出力制御は、発電した電気が使われずに終わるので、せっかくのクリーンエネルギーを無駄にしている点で問題と言えます。

せっかく環境負荷の少ない太陽光発電のような発電方法が普及してきたとしても、これでは意味がありません。

 

そこで、鉄道会社の出番だと思うのです。

まず、鉄道会社は余剰電力を充電できる設備を導入します。充電設備にはリチウムイオン電池や電気二重層キャパシタ、フライホイールなどがありますが、具体的にはメンテナンスコストの安い超電導フライホイールがいいと思います。経年による電気的劣化がないからです。

電力料金のダイナミックプライシングが定着すれば、余剰電力が発生している間は需要と供給の関係で電力料金単価は下がるはずなので、安いコストで電力を調達した上で自前の充電設備に充電させておいて、ラッシュの時間帯に使えばいいのです。

鉄道会社は大量の電気を使ってサービスを生み出しています。出力制御問題の解決や再エネの普及を後押しすることは、大量の電力を消費している企業としての責任だと思います。

燃料電池車(FCV)の燃費は12.6km/L(ガソリン換算)

燃料電池車は燃料に水素を使い、走行中も停車中もいつでも、出すのは水だけです。極めてクリーンな乗り物と言えますが、燃料となる水素がただで手に入るわけではありません。では、燃料電池車を走らせるためにかかるコストはどのくらいなのでしょうか。燃費をガソリン車に換算してみようと思います。

 

燃料電池車の燃費は、ガソリン換算で12.6km/L

僕が一目惚れしたホンダクラリティフューエルセルの諸元を用いて計算してみます。公式ページによると、水素充填1回あたりの走行距離は750kmとのことです。

水素を満タンに充填した時の水素の質量(kg)を計算します。充填圧力は70MPaであり、温度27℃、プランク定数R=8.3×1000とすると、水素を満タンに充填した時の物質量は3,963molとなります。水素H2のモル質量は2g/molですので、3,963molの水素ガスの質量は、3,963mol × 2g/mol = 7.927kgと計算できました。

ここで、水素スタンドでの水素ガス販売価格を現在の一般的な価格である1,000円/kgとすると、水素ガス満タン充填にかかる金額は7,927円となります。この燃料で750kmを走行できるわけですから、1km走行するのにかかるコストは10.6円となります。

これらを踏まえて、今日のガソリン価格である1L=134円を用いて、燃料電池車の燃費をガソリン車に換算してみます。134円/L ÷ 10.6円/km = 12.6km/L (ガソリン換算)となります。

燃費が良くないように見えるのは、水素関連のコストが高いから。

15km/L程度燃費があれば、悪くない成績かな?という大衆車の感覚で見ると、燃料電池車の燃費は実はそれほど良くないことがわかりました。これは、水素スタンドの建設コストや水素製造コストがまだ高いことが原因であると考えられます。

今日配信された日本経済新聞電子版の記事によると、政府は水素製造コストを2050年度までに現在の10分の1以下に引き下げる目標を掲げました。純粋に計算すれば、水素の販売単価が10分の1となり、コストを基準に考えた燃費は上がるはずです。ガソリン換算で126km/Lとなるはずです。

日本再生可能エネルギーインフラ投資法人を通じて、気軽に再生可能エネルギーに投資することができます

電気マン山田は、持続可能な社会を実現するためには、将来的に消費される全ての電気エネルギーが再生可能エネルギーのみによって発電される必要があると考えている。再生可能エネルギーの普及と発展に少しでも貢献するため、「日本再生可能エネルギーインフラ投資法人」へ出資を通して太陽光発電設備を取得することにした。今回取得した投資口数は1口であり、財務諸表から計算した一口あたりのソーラーパネルの発電容量は240Wである。再生可能エネルギーの普及に手軽に貢献するための方法として、投資による手段があるということをご紹介したい。

 

持続可能な社会を実現するために重要なことは、消費されるエネルギーを再生可能エネルギーで賄うことだと思う。日本の主力電源である火力発電の燃料は石油や石炭、天然ガスであるが、これらの埋蔵量は有限である。有限の資源を使い続ければいつか底をつくのは明らかであるため、火力発電を永久に使い続けることはできないことは想像に難くない。その点、再生可能エネルギーの資源は無尽蔵である。再生可能エネルギーの代表格である太陽光発電の資源は太陽光であり、無尽蔵も同然なので、将来太陽光発電が使えなくなることはない(正確にいえば、減価償却しきれば発電設備は使えなくなるが、発電方法そのものが使えなくなるわけではない)。持続可能な社会の実現を考えたとき、将来的に使えなくなる可能性のある電源に頼るのはナンセンスであり、資源が枯渇しない再生可能エネルギーのみで成り立つ社会にすることが大切だ。

太陽光発電を取得する方法として、投資法人に投資する方法がある。太陽光発電を自前で整備するためには、土地の手配から建設、運用、管理まで全て考えなければならず、莫大なお金かかるし、働いていればそんな時間もない。そこで投資という手段がある。日本再生可能エネルギーインフラ投資法人と呼ばれるファンドは、太陽光発電などの再生可能エネルギーを建設、運営するための費用を投資主の出資金などで賄うものだ。つまり、莫大なお金と時間をかけなくても、このファンドに出資するだけで、その出資額に応じた割合の太陽光パネルを取得することができる。

日本再生可能エネルギーインフラ投資法人の投資口(株式)を1口取得することで、240W分の太陽光発電設備を取得したことと同じことになる。2018年8月10日現在の情報によると、このファンドが所有する太陽光パネルの出力は51,662kWである。このうち投資主資本は44.6%であるので、23,041kW分が投資主の持分である。発行済みの投資口(株式と同義)は95,766口であるので、23,041kWh÷95,766口=240W/口となり、一口出資すると240W分の太陽光パネルを取得することと同じ意味になる。ちなみに、240Wがどれくらいの規模なのか?という疑問を抱いた方は、比較対象として下に身近な家電の消費電力を書くので比較してみてほしい。

  • iPhoneの充電器 5W
  • 白熱灯 40W
  • 蛍光灯 64W
  • 電子レンジ 600W
  • IHクッキングヒータ 強火 1,400W

太陽光発電設備で発電されたクリーンな電気は電力会社に売電され、その利益は配当金として投資主に分配される仕組みだ。前述の通り、ファンドに出資すると、出資額に応じた太陽光パネルを取得したことと同じになる。取得した太陽光パネルが発電した電気は電力会社に売電され、このときに得た収益から諸費用を引いた残りの額が、分配金として投資主に配分される。ちなみに最近の分配金は、一口あたり半年で3,249円であった。

手軽に太陽光発電設備を取得できることが、ファンド投資の一番の利点である。僕のように、出資できるお金は少ないが再生可能エネルギーが少しでも普及するために何かしたい!と考えている方にぜひオススメしたいのが、ファンドへの出資という手段だ。ファンドへ出資することで、発電設備の設計、建設、運用、保守等の一切を任せることができ、手軽かつ確実に再生可能エネルギーの普及に貢献することができる。今回ご紹介したファンド以外にも、優れたファンドが存在するかもしれない。発見したらまたご紹介したいと思う。

映画「未来のミライ」に鉄道のミライを想う

 先日映画を観に行った際に、細田守監督の最新作「未来のミライ」のフライヤー(チラチ)を頂いてきた。「時をかける少女」で細田守監督の作品と出会い、以来同氏の映画が公開されるたびに楽しみにしてきた身にとって、今回の「未来のミライ」公開日を心待ちにしている。フライヤーをワクワクしながら読んでいると、駅設備に関する面白い描写を見つけた。

 

「未来のミライ」物語のストーリー


「未来のミライ」予告3

 

 物語の主人公であるくんちゃんが、自分のことを「お兄ちゃん」と呼ぶ少女ミライちゃんと出会う。ミライちゃんとの時空を超えた冒険で、家族の愛の形を知り、成長していくというストーリだそう。詳細は映画の公式ページを参照されたい。

mirai-no-mirai.jp

 

気になる駅設備の描写について

 劇場で頂いてきたフライヤーの見開きが下の写真である。

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フライヤー見開き (c)2018スタジオ地図

 この見開きの背景は、未来の駅を描写したものと思われる。どことなく空港を思わせる雰囲気が漂っていて、個人的には遠くへ旅行に出かけるワクワク感を感じたが、この描写の中央に注目したい。

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ゲートサインの言語がそれぞれ違う (c)2018 スタジオ地図

 ホームの番線と鮮明を示す看板をゲートサインという(参考:株式会社ジェイアール東日本建設設計事務所「コラム」)が、描写されているゲートサインをよく見ると、ゲートサインごとに言語が違うことがわかる。

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2番線はアラビア語 (c)2018スタジオ地図

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3、4番線は中国語 (c)2018スタジオ地図

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5番線は日本語 (c)2018スタジオ地図

 

 2番線のゲートサインはアラビア語、3−4番線は中国語、5番線は日本語で案内が表示されている。
察するにこれらのゲートサインはLCDであり、時間が経過するごとに言語が切り替わる仕組みなのだ。
とても斬新なアイデアだと思った。ゲートサインをLCD化すれば、描写のように多言語表記によって外国人にもわかりやすい案内を提供することができるし、コンサート等の多客が予想される日には、そのイベント参加者向けの案内を表示させることもできる。地震や火災などの非常時には避難経路情報を表示させることで、迅速にお客さまを安全な場所まで誘導させることも可能だ。

 駅の発車標(次にホームに入線する電車を案内する機器)や、駅・電車内の広告媒体としてLCDを採用する動きが活発である。LCDは従来のプラスチックや紙媒体と比べ表現の自由度が高いことから、伝えたい内容を複数の言語で表現したり、アニメーションを用いて表現することができる。外国人観光客にとってもわかりやすい案内ができることから、インバウンドを見据える上でキーアイテムであると思う。同様に駅構内にある様々な看板をLCD化することにより、より快適なサービスを提供できるかもしれない。
鉄道業界に入って、看板はプラスチック製であるという固定概念に囚われていたことを、このフライヤーをみて気付き、とても驚いた。

画像解析を用いれば、お客さまにより快適なサービスを提供できる

ワイヤレスジャパン2018に参加してきた。この展示会は、モバイルインフラサービス(移動体通信ネットワーク)と近距離ネットワーク(無線LANやBluetooth)を中心に、無線技術の最新動向と製品/サービス/ソリューションの最新情報を発信する展示会である(公式HPより)。併設展示として、ワイヤレステクノロジパーク運輸・交通システムEXPOドローンソリューション&技術展も併設展示されており、鉄道を利用するお客さまにより安全、安心で快適なサービスを提供するためにすべきことのヒントがいくつかあった。
鉄道会社が導入すれば費用対効果が大きいと思われる製品、サービスを記そうと思う。

 

(1) 富士通 スマート都市監視ソリューション
 
  • お客さまの混雑検知が可能。指定したエリア内の人数を把握することができる。駅構内の混雑具合が一定のレベルを超えた場合に駅員に通知することで、適切なタイミングで入場制限をかけ、ホーム上の安全を確保できる。
  • 人物の服装の種類や服の色、顔認識ができる。迷い人の捜索を円滑に実施できるようになり、駅員の負担が軽減され、お客さまにより手厚いサービスを提供できるようになる。
  • 混雑具合の状況は、単にお客さまの密度だけでなく、顧客属性(性別、スーツかカジュアルか)などの情報も明らかにできるので、販売促進の考察、顧客サービスの検討など、マーケティングにも応用することができる。顔認証を用いた、改札のない改札(過去の記事をご覧ください)のシステムとの相性もいいのではないか。
  • 人数のカウントをリアルタイムにできるので、各駅の利用状況を状況別に解析できる(天気、気温によって利用客にどのような変化があるかわかれば、ダイヤの組み方もより戦略的に実施できるかもしれない)
  • 導入に際し既存のカメラがすでに適当な箇所に設備されていれば、そのカメラで撮影した映像を解析に使えるので、新たにカメラを導入する必要がない。既存設備を有効に活用でき、導入の敷居が低い。
 
(2) 日立LGデータストレージ 3D LiDAR (TOF)センサ
 
  • TOF: Time of Fright とは、光の反射時間から物体までの距離を計測すること。このセンサは近赤外線を被写体に照射し、光がセンサに戻るまでの時間から物体を検知する仕組み。
  • カメラを用いた人体の検出方法と違う点は、個人を特定できないことである。プライバシー保護の観点上、非常に扱いやすいといえる。
  • ただ、センサがカメラに比べ高価であり、個人を特定できない点以外は、カメラを用いた物体検知と特徴に変わりがないので、安価なカメラを用いた人体検出システムを用い、プライバシー保護の問題は別問題として考えた方が有利かもしれない。カメラで撮影した画像を、個人が特定できない形に加工するのはそれほど難しい技術ではないと思う。それこそ人工知能を用いれば朝飯前なのでは?
 
(3) 深空株式会社 ドローンフライトソリューション
 
  • ドローンを用いた総合プロデュース、すなわち操縦、データ処理、ドローン販売/レンタルをするところがこの会社の特徴。要望に合わせてサービスを提供してくれる。ドローンをレンタルしてその効果を検証することができるので、有効に活用したい。
  • 電気設備をドローンを用いて点検する際は、高倍率光学ズームとサーモグラフィを用いて設備を空中撮影、解析することにより、電気設備の物理的な損傷はもちろん、電気的に不具合がある箇所は発熱することも多く、そうした変化も察知することができる。充電部を素手で触ることはできないので、こうした技術を用いれば人間以上に設備を詳細に、かつ安全に点検することが可能となる。AIを用いた異常個所の検出ができるサービスがこの会社にあるかはパンフレットからは分からなかった。
  • ドローン講習会も実施している。作業員の教育も重要であることを忘れてはいけない。
 
(4) アイフォーコム株式会社 作業員みまもりサービス
 
  • 温湿度・加速度センサを作業員が身につけることにより、作業場所の環境を検知し、熱中症にかかる危険があるような条件の場合はアラートで通知する。加速度センサは作業員の転倒災害等を検知し、現場監督者等に通知する機能がある。
  • 脈拍センサは作業員の活動量を検知し、作業員の健康状態をモニタリングできる。
  • 現在のところ、熱中症の予兆となる体調の変化を感知してアラートで通知する機能がないのが残念。
 
 

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