燃料電池車は燃料に水素を使い、走行中も停車中もいつでも、出すのは水だけです。極めてクリーンな乗り物と言えますが、燃料となる水素がただで手に入るわけではありません。では、燃料電池車を走らせるためにかかるコストはどのくらいなのでしょうか。燃費をガソリン車に換算してみようと思います。
燃料電池車の燃費は、ガソリン換算で12.6km/L
僕が一目惚れしたホンダクラリティフューエルセルの諸元を用いて計算してみます。公式ページによると、水素充填1回あたりの走行距離は750kmとのことです。
水素を満タンに充填した時の水素の質量(kg)を計算します。充填圧力は70MPaであり、温度27℃、プランク定数R=8.3×1000とすると、水素を満タンに充填した時の物質量は3,963molとなります。水素H2のモル質量は2g/molですので、3,963molの水素ガスの質量は、3,963mol × 2g/mol = 7.927kgと計算できました。
ここで、水素スタンドでの水素ガス販売価格を現在の一般的な価格である1,000円/kgとすると、水素ガス満タン充填にかかる金額は7,927円となります。この燃料で750kmを走行できるわけですから、1km走行するのにかかるコストは10.6円となります。
これらを踏まえて、今日のガソリン価格である1L=134円を用いて、燃料電池車の燃費をガソリン車に換算してみます。134円/L ÷ 10.6円/km = 12.6km/L (ガソリン換算)となります。
燃費が良くないように見えるのは、水素関連のコストが高いから。
15km/L程度燃費があれば、悪くない成績かな?という大衆車の感覚で見ると、燃料電池車の燃費は実はそれほど良くないことがわかりました。これは、水素スタンドの建設コストや水素製造コストがまだ高いことが原因であると考えられます。
今日配信された日本経済新聞電子版の記事によると、政府は水素製造コストを2050年度までに現在の10分の1以下に引き下げる目標を掲げました。純粋に計算すれば、水素の販売単価が10分の1となり、コストを基準に考えた燃費は上がるはずです。ガソリン換算で126km/Lとなるはずです。