送電線の保守をAIで自動化(2019.12.3 日経電子版)
どんなニュース?
送電線の保守作業の一部を、AI(人工知能)で実施する事業者が出てきました。
今までヘリコプターにより撮影した映像を、人間の目で確認して電線の異常の有無を確認していたそうですが(規模が大きくてすごい!)、この作業をAIに代行させるそうです。
AI(人工知能)とは
画像解析はAIの得意分野の一つで、異常がある送電線の画像データを教師データにすることで、同様の異常が発生していると思われる箇所を自動的にピックアップできるようになります。
AIの欠点
AI(人工知能)の欠点は、まだ起こっていない未知の異常に関して、それを察知する能力がないことです。
今まで発生した異常個所と同じような異常は、それを異常と判断する元のデータを根拠とするので、高い精度で異常を検出できます。しかし、未知の異常に対しては、それを異常と判断することができないんです。
AIが未知の異常を発見できるようになるには
ベテランと言われる人は、未知の異常をどういう根拠で異常と判断しているか。
それは、「違和感」です。
彼らは、まだ経験していない異常に遭遇したとき、違和感というファーストインプレッションでその箇所をマークします。そして蓋を開けてみて、異常を発見するのです。
僕はこの点について、AIに違和感を実装するために、素人ながら、FEM(有限要素法)を活用すれば実現できるのではないかと思っています。
FEMでAIは強くなれるのか
FEM(有限要素法)とは解析手法の一つで、コンピュータ上に解析したい物のモデルを作り(CADで図面を引くような感じ)、温度の変化や振動など、様々な条件を与えて時間を経過させ、解析対象に将来どのような変化が現れるかを検討するものです。つまりシミュレーションです。
電線であれば、防止すべきは電線の断線。断線が起こりうるのは、金属疲労による物理的断線と、電気抵抗率が上がることによるジュール熱によって金属が徐々に酸化し、金属の性質が変わることが原因になりそうです。
つまり、FEMを用いて、色々な条件下での金属疲労と電気抵抗率の変化による金属特性を解析し、金属特性が異常が起こりうる条件になったときの電線外見がどうなるかが解析できれば、そのデータを根拠にAIで未知の異常箇所を特定できるのではないかと思っています。