こんにちは。山田大地です。僕のブログにアクセスしていただき、ありがとうございます。
今日は系統の周波数制御の中で、系統周波数の変動によって系統負荷の消費電力が自動的に調整される「自己制御性」について、その仕組みを解説したいと思います。
結論から言いますと、周波数の上昇に伴って発電所発電機の回転数が増加し、系統電圧が上がることによって、系統負荷の抵抗負荷成分の電力消費が上がるため、だそうです。
はじめ、僕は周波数の変化によって系統負荷のインピーダンス特性が変化し、力率角が変わることで、消費電力が変動すると考えました。しかしこの考え方だと、系統負荷が増大し系統周波数が下がると、系統負荷がますます増大してしまうのです。OMG
負荷が増大すると周波数が下がる理由(これはあってる)
需要家(工場など)が電気を使いまくると、系統の負荷が増大し、系統の周波数は下がり始めます。なぜ下がるのか。
需要家と発電所は送電線によってつながれています。
そして、発電所にある発電機は回転機です。火力も水力も原子力も、発電機を必死こいて回して、電気を生み出しています。
で、負荷が増大すると、発電機に機械的な負荷がかかるようになります。要は回転機にブレーキがかかる感じです。そうすると発電機の回転数は減少する。
発電機の回転速度が下がると、発電した電気の周波数も下がります。こうして、負荷が増大すると周波数が下がってくるのです。
逆もまた然りで、系統の負荷が減少すれば、発電所の発電機にかかる機械的負荷が減少し、回転速度が上昇し、周波数が上昇します。
なぜ周波数が上昇すると系統の消費電力が下がるのか(間違ってる)
消費電力をインピーダンスの関係式で表す
発電所と需要家の関係を電気回路に書くと、下のようになります。
系統負荷で消費される電力について考えます。
消費電力は電圧と電流の積なので、消費電力=VI(VA)です。
ここでオームの法則。V=IZから、I=V/Zとなります。このIを上の式に代入すると、
消費電力=VI=V×V/Z=V^2/Zとなります。この式から、消費電力はインピーダンスに反比例することがわかります。
周波数が上がるとインポーダンスが増大する
インピーダンスを考える際は複素平面を使います。構えなくて大丈夫。別に難しい話ではありません。
複素平面なんて難しい名前をつけるからびびっちゃうんです。複素平面は、波形の時間的なつながりを直感的に理解できる最強のアイテムです。
インピーダンスZには、電圧をかけると即座にその電力を消費する抵抗負荷Rと、電圧をかけるとしばらくしてから電流を流しはじめる誘導負荷jωL、電圧をかけるとそのタイミングより少し早いタイミングで電流を流す容量性負荷1/jωCがあります。というか、この3つしかありません。
そしてこの3つの負荷を式で表すと、下のようになります。
一般に、系統に接続されている負荷は抵抗負荷と誘導負荷で、容量性負荷は誘導負荷に比べ十分小さいことにして、話を簡単にします。
すると、インピーダンスZは、抵抗負荷Rと誘導負荷jωLで書けるようになります。
これを複素平面で表すと、下のようになります。
そして、ここからが大切な話。
インピーダンスの式に出てくるωとは角周波数のことで、周波数fとはω=2πfという関係があります。何が言いたいかというと、周波数fと角周波数ωは比例関係ですよということです。
これを複素平面で考えると、下のようになります。
系統周波数fが大きくなると、系統負荷インピーダンスが増大することになります。
インピーダンスが増大すると消費電力が減少する
系統負荷が減少する→周波数が上がる→インピーダンスが増大する→消費電力はさらに減少する!
理屈は合ってるんでしょうが、これでは自己制御どころの話ではなく、超不安定なシステムになってしまいます...
どこがナンセンスだったのか
変動する系統電圧の大きさに注目すべきだった
周波数変動は0.2Hz程度が許容範囲です。角周波数で1.2rad/s程度。この程度では、インピーダンスの特性が変化するほど容量性負荷が変動することはありません。
つまり僕は、ほぼ変動しないインピーダンス特性のせいで負荷が変動していると思い込んでいるのでした。
一方、系統電圧は結構変動します。経験上、60kV系で1000Vくらい余裕で変動します。
この電圧変動がダイレクトに系統負荷に影響を及ぼしていると考えられます。
以下の書籍が参考になります。google Booksで無料閲覧できます。↓82ページ参照
以上、ご参考までに。