結論から言うと、変電所には様々な安全装置が電気系統の異常を検知できるように設計されており、異常時は電気の供給を停止しますので、乗客が感電したりすることは絶対にありません。
2019年7月19日午前5時ごろ、京王電鉄の永山変電所(東京都多摩市)で火災があり、地下ケーブルや蓄電池などが焼けました。原因は変電所に置き忘れた工具によって電気系統が地絡(ショート)したことによるものです。
地絡を検出する機能は変電所に実装されているはずですので、蓄電池設備内でショートして火災に至ったのではと考えます(あくまで個人の見解です)。
変電所の事故が乗客の安全を脅かすことはあるのか
変電所に何かしらの異常が起こり、地絡や異常電圧など感電の危険が及ぶ可能性が高い状態になると、異常を検知するセンサーが動作して電気の供給を停止します。
また、変電所の火災に関しては消火設備を設けることが法令によって定められています(鉄道に関する技術上の基準を定める省令第49条)。
変電所の事故が乗客の安全を脅かすことはありません。
変電所火災はなぜ起きたか
変電所内での地絡が原因であるとの見解があります。地絡というのは、本来電気が流れてはいけないところ(地面や建物の骨組みなど)に電気が流れてしまう状態のことで、電気事故の中で最も危険な事故の一つです。
このため、電車や駅に電気を供給する変電所の電気系統には、地絡を検出するセンサーが取り付けられています。地絡を検出したら即座に電気をシャットアウトする仕組みです。このセンサーは定期点検によって健全性を確認しているはずですので、センサーの不具合は考えにくいです。
ケーブルはそもそも燃えにくいような素材を使うのが一般的ですので、蓄電池周辺でショートしたと考えるのが妥当ですが、原因の究明にはまだ時間がかかると思われます。
乗客の安全が最優先となるように鉄道システムは設計されている
万が一電気系統の事故が起きたとしても、乗客に危害が及ぶことがないよう何重にも安全対策をとっています。例えば、電気系統の異常時は、強制的に送電をストップさせることで感電の可能性を排除する仕組みになっています。
また、停電した場合も電車は安全に停止できるように設計されており、停電によって電車同士が衝突することは絶対にありません。
鉄道というシステムは、安全に対する対策を何重も構築することによって、乗客の安全確保が最優先になるように設計されていますので、安心して鉄道を利用できます。