2019年2月は、投資法人による増資があった影響で、計算が複雑になっています。2019年2月の筆者持分発電電力量は31.0kWh、消費電力量に対する比は先月比17%増の16%となりました。消費電力量のおよそ6分の1を再生可能エネルギーでまかなえるようになってきました。雪解けにより日照時間が伸びたことが主な原因かなと考えています。
投資口1口当たりの発電実績を求める
2月の投資口1口当たりの発電電力量の計算は少し厄介です。なぜなら、2月22日に増資すなわち太陽光パネル容量の増加と、新投資口発行、そして資金の借入を実施しているからです。これはつまり、2月22日に貸借対照表(B/S)が変化しているということであり、この日を境に太陽光パネル資産に対する投資主持ち分の比率が変化しているということです。
増資実施の前後で発電実績の電力量を按分する
日本再生可能エネルギーインフラ投資法人の発表によれば、2月の実績発電電力量は3,535,375kWhでした。この発電電力量は純粋に太陽光パネルが発電した電力量であるため、投資口1口当たりの資産がどれほどの電力量を発電したかについては別途検討しなければいけません。発電電力量の按分に際しては、増資前後の太陽光パネル容量が明らかですので、太陽光パネルの容量と運用期間を乗じたものをウエイトとして按分の根拠にするのが妥当だと考えます。
2月1日〜2月21日(増資実施前)のウエイトの計算
- 運用期間:2月1日〜2月21日(21日間)
- 太陽光パネル容量:51,600kW
- ウエイト:21×51,600=2,011,086
2月22日〜2月28日(増資実施後)のウエイトの計算
- 運用期間:2月22日〜2月28日(7日間)
- 太陽光パネル容量:68,500kW
- ウエイト:7×68,500=479,500
2月1日〜2月21日(増資実施前)の発電電力量
増資実施前の21日間の発電電力量の按分結果は以下のようになりました。
$$3,535,375\times\frac{2,011,086}{2,011,086+479,500}=2,854,727\rm kWh$$
2月22日〜2月28日(増資実施後)の発電電力量
増資実施後の7日間の発電電力量の按分結果は以下のようになりました。
$$3,535,375\times\frac{479,500}{2,011,086+479,500}=680,648\rm kWh$$
投資主持分の発電電力量を求める
増資実施前後で貸借対照の構成が変わっているので、増資実施前後で分けて考える必要があります。
増資実施前(2月1日〜2月21日)の投資主持分の発電電力量
増資実施前の貸借対照構成は今までと変わらないので、今まで通り計算します。(計算根拠は2018年12月28日の記事をご参照ください)
投資法人が保有する資産のうち44.6%が投資主資本であるので、増資実施前の発電電力量の44.6%が投資主持分の電気であると考えることができます。
2,854,727×0.446=1,273,208kWh
増資実施後(2月22日〜2月28日)の投資主持分の発電電力量
さて、ここからが若干面倒な計算になります。まず、増資実施に伴って投資口を発行したので、投資主資本が増えました。新投資口発行に際しては、(1)一般募集、(2)オーバーアロットメントの2通りの手段によって発行されましたが、その細かい話は割愛します。ここでは増資額が具体的にいくらだったかのみ焦点を当てたいと思います。
(1)一般応募による増資額は、投資法人のリリース資料によると、2,197,262,359円(約22億円)であったことがわかります。
(2)オーバーアロットメントによる増資額は、投資法人のリリース資料によると、109,831,941円(約1億円)であったことがわかります。
よって、新投資口発行による増資額は総額で2,307,094,300円(約23億)だったことになります。
また、合わせて資金の借入も実施しています。投資法人のリリース資料によると、5,247,000,000(約52億円)の借入を実施したことが分かります。
以上を考慮した上で、投資法人が所有する資産に対する投資主持分の比率を考えないと、投資口1口当たりの発電電力量が見えてきません。
新投資口の発行及び新規借入の実施により、貸借対照表は以下のように変わったと考えられます。(注)日本再生可能エネルギーインフラ投資法人による公式資料ではなく、個人的見解であることに十分留意してください。この資料を用いたことにより生じたいかなる損害についても、筆者は責任を負いません。
(負債の部)(単位:千円)
負債合計…12,086,107 +5,247,000(新規借入による負債増加)
投資主資本…9,096,894 +2,307,094(新投資口発行による投資主持分の増加)
評価差額金…△60,277
負債の部 計…28,676,818
よって、増資の実施により、資産の投資主持分比は以下のように変化したと考えられます。
$$\frac{9,096,894+2,307,094}{28,676,818}\times100\fallingdotseq39.8\%$$
お待たせしました。増資実施後(2月22日〜2月28日)における、投資主持分の資産が発電した発電電力量は、
680,648kWh×39.8%=270,898kWh
投資口1口あたりの発電電力量を求める
増資実施前(2月1日〜2月21日)
増資前は発行済投資口総数が95,766口であったことから、投資口1口当たりの発電電力量は以下のように計算できます。
$$1,273,208\times\frac{1}{95,766}=13.29\rm kWh/口$$
増資実施後(2月22日〜2月28日)
増資により、発行済投資口総数は25,900口増加したことから、投資口1口当たりの発電電力量は以下のように計算できます。
$$270,898\times\frac{1}{95,766+25,900}=2.23\rm kWh/口$$
2月の投資口1口当たりの発電電力量
以上の検討より、2月の投資口1口当たりの発電電力量は次のようになります。
$$13.29+2.23=15.52\fallingdotseq15.5\rm kWh/口$$
筆者持分の発電電力量
筆者持分のパネル発電電力量
筆者は投資口を2口保有していますので、筆者持分の資産が2月に発電した電力量は、
15.5(kWh/口) × 2(口) = 31kWh
となりました。先月比17%増の成績です。