12月2日からポーランドで開幕されているCOP24では、Eモビリティを推進するセクションで、運輸部門のCO2排出量ゼロの実現を明記する見通しとなった。鉄道部門で実施すべき具体的指針が明記されるという報道はいまのところないが、電車も火力発電に由来する電気を使用しているため、完全にクリーンというわけではない。COP24による運輸部門のCO2排出量ゼロの実現にあたっては、鉄道会社も再生可能エネルギーの推進に取り組む必要があるということをお伝えしたい。
COP24とは温室効果ガスの排出量を削減するための策を協議する国際会議である。COPとは温室効果ガスの削減策を協議するために開催される会議のことで、1992年の国連環境開発会議(地球サミット)で採択された気候変動枠組条約の締約国が出席する。1995年にベルリンで開催されたCOP1以来、毎年開催されている。今年で24回目なのでCOP24というらしい。ちなみに、京都議定書は1997年に京都で開催されたCOP3により採択されたものである。
電気自動車を推進するEモビリティのセクションで、運輸部門のCO2排出量ゼロの実現を明記する見通しとなった。運輸部門でCO2を多く排出している自動車について、電気自動車へのシフトの方向性を明確にすることで、CO2排出量を減らすことが目的である。国土交通省の資料によると、2016年度の日本のCO2排出量12億600万トンのうち、18%が運輸部門から排出されており、このうち82%は、自家用乗用車や自家用/営業用貨物車が占めている。これらを電気自動車に置き換えることでCO2の削減を狙っている。なお、合わせて明記しておきたいが、ガソリン車やディーゼル車などのCO2を排出する内燃機関を搭載した自動車を電気自動車へシフトしたとしても、CO2を排出する火力発電に由来した電気を使い続けるのではトータルで考えた時に意味がない。CO2が車から排出されるか発電所から排出されるかの違いにしかならないからだ。
鉄道業界の具体的指針は明記されてはいないが、鉄道が消費する電気の83%は火力発電に由来し、絶対的にクリーンな輸送手段というわけではない。COP24で明記される見通しの文言には、あくまでガソリン車等を電気自動車に置き換えることを指針としており、鉄道業界が具体的に行動すべき指針は入っていない。しかし、鉄道部門が排出するCO2も919万トンであり、運輸部門の中で占めるCO2排出量の割合は少ないが、決してCO2排出量が少ないわけではないのだ。鉄道事業者もCO2排出量を削減するために様々な施策を自発的にやっていく必要がある。
輸送部門のCO2削減のためには、鉄道業界も責任を持って再生可能エネルギーの推進等に取り組む必要がある。前述の通りCO2の削減のために電気自動車への置き換えを推進するだけではなく、再生可能エネルギーの普及を進めてこそこれらの施策が初めて効果を発揮する。電気を使用する鉄道部門も、自発的、積極的に再生可能エネルギーの普及のために様々な施策を模索していかなければならない。