6月9日(土)午後10時ごろ、新大阪行きのぞみ265号の車内で、男が複数の乗客を刺し、3人が死傷する事件があった。
容疑者の男は精神疾患を患っていたとの報道もある。危険な行動をする可能性のある人物を乗せないようにすれば、このような事件が起こる可能性は下がるだろうが、そのような仕組みを作ることは困難であり、仮にできたとしても差別問題になってしまう。
しかし、手荷物検査もない現状では、刃物などの危険なものを容易に車内に持ち込めてしまう。これは、安全管理上不十分だと感じる。飛行機の場合は航空法によって危険物の機内持ち込みは厳しく制限されているが、鉄道の場合も、鉄道営業法と呼ばれる法律によって危険物の持ち込みが制限されている。
手荷物検査が増えることで、お客さまにも鉄道係員にも負担が増えてしまうことは否めない。たが人工知能の技術が発展してきた今、これらの技術を活用することで検査の自動化を推進でき、検査時間の大幅短縮につながるのではないか。とすれば、お客さまや鉄道係員にかかる負担を必要最小限にしつつ、より確実に安全を確保することができる。
安全の確保のために利便性を犠牲にしては本末転倒に見えるかもしれない。しかし安全の確保は輸送の生命であり、安全無くしてお客さまをご案内する資格はない。現在の最新技術を最大限活用し、お客さまにおかけするご負担を最小限にとどめ、安全確保のために打つべき手を躊躇せず実施することが、鉄道事業者の責任ではないか。