昨日の日経新聞電子版に、梅雨ならではの話題があった。傘忘れ防止に役立つ、IoTを使った製品やサービスが登場しているらしい。傘に専用のタグを取り付けることで、連動させたスマホからタグが離れると通知してくれる商品があるとのことだ(1)。
この記事にもあるが、鉄道会社にとって傘の忘れ物は大きな問題となっている。鉄道会社共通の悩みではないだろうか。
相模鉄道と相鉄バスが調査した忘れ物に関するデータによると、車内におけるもっとも多い忘れ物は傘で、年間2万2千本もの忘れ物があるらしい。梅雨の6月と台風シーズンの9月は特に多く、傘の忘れ物は月間3000本にのぼるという。
傘の忘れ物を防止するために、電車の車両に手を加えるのはどうだろうか。
例えば、東武鉄道の50000系や西武鉄道の40000系電車は、座席指定列車として運転しないときはロングシート仕様となり、各座席にはアームレストと呼ばれる腕を置くための器具が座席についている。このアームレストの先端部に傘の柄をうまくかけられるようにして、傘がかかったことを検知できるセンサーを内蔵する。傘がアームレストにかけられたら、アームレストの先端部が赤く光るようにすれば、傘の置き忘れに気付けるのではないか。座席にも着座センサを仕込んでおき、傘がアームレストにかかっている状態で座席を立てば、アームレスト先端部が点滅し傘を取るように促す仕組みにするのも面白い。
発想を変えて、傘をレンタルする仕組みにする案もある。利用客にはあらかじめ事前登録をお願いし、雨天時は家から駅までは自分の傘を使い、駅に着いたら自分の傘を預ける。電車で移動後、降車駅では鉄道会社が用意した傘をレンタルすることができるが、それは自分の傘を駅に預けている時だけレンタルすることができる仕組みにする。自宅最寄り駅に帰ってきた際は預けていた傘が返却されるが、返却時点でレンタル傘を返却していることが条件となるようにする。こうすれば、自分の傘がレンタル傘を借りる時の担保になるので、レンタル傘が返却されない心配もないし、傘の置き忘れもなくなるだろう。帰宅時に晴れていて傘を取り忘れた場合は、事前登録しておいた連絡先にその旨の通知が行くようにする。
傘の忘れ物も、捨てられてしまえばゴミとなり、環境を汚染する原因になってしまう。傘の忘れ物をなくすことで、利用者は傘を新たに購入する費用が削減でき、鉄道事業者は傘の忘れ物の処理にかかる時間や労力を削減することができ、地球環境の保全にも効果があると考えられる。
傘の忘れ物対策に効果があると思われるアイデアは積極的に取り入れ、傘の忘れ物ゼロにチャレンジするのも、鉄道会社の責務だと思う。
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(1) 日本経済新聞電子版「今年こそなくさない 傘忘れ防止サービス続々」