今日の日経電子版から。工事現場等の作業員の熱中症の症状をウェアラブル端末で検知するサービスを、6月中旬に始めるとKDDIが発表した(1)。僕も現場作業が多いので熱中症に対して敏感であるように心がけている。
熱中症とは体内の水分や塩分のバランスが崩れるなどして発症する障害のことであり、2016年の職場での熱中症による死亡災害者は12名に及んでいる (2)。
2016年に熱中症が原因で命を落とされた方の事故状況の詳細を見た。体調が変化し始めてから意識を失うなどの重篤な症状を発症するまでの時間が短いと感じた。また、事故にあった12名のうち5名は一人でいるところで熱中症と思われる症状で倒れているため、発見が遅れている。発見が早ければ助かった命があるかもしれない。
鉄道の現業で働く係員は単独になることは少ないと思う。ただ、ちょっとした体調の変化を熱中症と判断することは難しい。熱中症にかかったことのある人でなければ、熱中症の兆候がどのような感覚であるかわからないからだ。特に、2016年の熱中症の事例でも分かる通り、熱中症にかかると体調の悪化が早く、自分でおかしいと気づいた時には動けなくなっている可能性もある。
ここで、今日の日経の記事に戻るが、ウェアラブル端末で作業員の健康状態をモニタリングし、熱中症の可能性を客観的に判断することができれば、作業員が熱中症であるにもかかわらず無理をして作業を続行し、その結果熱中症で大切な命を落とす事故を未然に防止できる可能性が高い。客観的に判断されることで、作業員が熱中症を申告するストレスも軽減されるかもしれない。
熱中症を予防するためには、水分補給の徹底、適度な休憩をとること、十分な睡眠をとること作が基本であり、少しでも体調がおかしいと感じた時は作業を一時中止することが重要であることは間違いない。
ただ、IoT技術が進歩し、作業員の体調管理を支援できる環境が整った今、これを活用しない手はない。こうした技術を有効に活用し、作業員が業務に集中できる環境を整えることで、作業の効率化が図れ、お客さまにより安全安心なサービスを提供することができると思うのだ。つまり、作業員がより安全に作業を実施できる環境を整えることは、お客さまに安全安心なサービスを提供するための前提となる。
すべてのステークホルダに事業活動について納得していただくためにも、従業員を守る技術の採用は重要である。
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(1)日本経済新聞電子版(2018年5月23日付)「作業員の熱中症 IoTで予防 KDDI」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30860880T20C18A5X30000/
(2)厚生労働省 「平成28年の『職場における熱中症による死傷災害の発生状況』(確報)」(2017年6月1日発表)
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11303000-Roudoukijunkyokuanzeneiseibu-Roudoueiseika/hasseijoukyou_1.pdf