働き方改革の一環で、百貨店や商業施設の営業時間を短くする動きが相次いでいるという(1)。長時間労働の是正の観点から歓迎すべき出来事であることは間違いないし、省エネの観点で見ても非常にいい流れだと思う。
経済産業省資源エネルギー庁が2017年6月に発表した平成28年度エネルギー白書によると、2015年度においてデパートが消費したエネルギーは36×10^15Jだったという(2)。1J=1Wsであるので、3,600J=3,600Ws=1Whから、デパートが消費したエネルギーは電力量に換算すると10TWhとなる。1日あたり27GWhのエネルギーを消費している計算となる。1日の営業時間を11時間とすれば、すべてのデパートで30分営業時間を早めることで単純計算で1.23GWhのエネルギーを削減できる計算だ。CO2換算でおよそ626トン。
早寝早起きの経済が浸透すれば、エネルギー消費量の削減は相乗的になる。ギラギラした街で夜更かしをするのではなく、日が暮れたら家に帰り、家族と共に夕食を食べ、明日に備える。すると、夜遅くまで電車を動かす必要がなくなるので、エネルギー消費量はさらに減っていく。
これらは極論かつ理想論であるが、終電車を夜更けまで運行する必要がなくなるような価値観の変化が訪れたとき、究極の省エネルギー時代が到来しているのかもしれない。
参考文献
(1) 日本経済新聞電子版 銀座の夜早く 銀座シックスや松屋銀座、閉店前倒し
(2) 経済産業省資源エネルギー庁 「平成28年度エネルギーに関する年次報告」(エネルギー白書2017)